公的年金の2月の支給額が過少となった件

2018年3月8日 | から管理者 | ファイル: 厚生年金保険法, 国民年金法.
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標記の件が報道されていますが、この件についての日本年金機構の説明は、下記ページになります。

・日本年金機構 「平成 30 年 2 月の老齢年金定時支払における源泉徴収税額について 」

本件は、年金制度そのものに改正があったわけではなく、次のような背景があります。
① 税制改正(主に配偶者控除及び配偶者特別控除の適用基準と控除額の改正)があった
② ①に伴い、公的年金を受給する方用の「扶養親族等申告書」が変更となった

①についての詳細は国税庁「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」を、②についての詳細は日本年金機構「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」についてをご参照ください。

さて、なかなか書ききるのが困難な「扶養親族等申告書」をきちんと記入して日本年金機構に提出すると、下記のようになります。

A 正しい「扶養親族等申告書」の記入→正しく配偶者控除等が適用される→正しい年金額が支給される

一方、「扶養親族等申告書」の記入が誤っていたりすると、下記のようになります。

B 誤った「扶養親族等申告書」の記入→正しく配偶者控除等が適用されない→誤った年金額が支給される。

以上は当たり前と言えば当たり前なのですが、例えば、年金に所得税がかかるか(=天引きされるか)、かからないか(=天引きされないか)のボーダーライン上の方に当てはめると下記のとおりとなります。

A 正しい「扶養親族等申告書」の記入→正しく配偶者控除等が適用される→所得税はかからず(=天引きされず、=控除されず)に年金額が支給される

B 誤った「扶養親族等申告書」の記入→正しく配偶者控除等が適用されない→所得税がかかって(=天引きされ、=控除され)本来の年金額より少ない額が支給される

「控除」という言葉が二回出てくるところがポイントで、それぞれは下記のような意味です。
① 配偶者控除や社会保険料控除、医療費控除などの各種控除の総称を「所得控除」と言い、これらをすべて控除したうえで所得税額を算出する。→所得控除の総額が大きいほど、所得税額は低くなる。
② 給与や年金からの「天引き」という意味での「控除」→給与や年金から控除される所得税額が低いほど、給与や年金は多くなる。

X 所得控除が多い→所得税額が少ない→年金から控除される額が少ないため年金は多い
Y 所得控除が少ない→所得税額が多い→年金から控除される額が多いため年金は少ない
となります。

一部報道で「…所得税が控除されず、年金額が本来より少なかった…」とありましたが、これは、Yのことを指しているということになります。


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