働き方改革関連法案の施行日を伝える記事について

2018年1月27日 | から管理者 | ファイル: 労働基準法.
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平成30(2018)年1月25日付日本経済新聞1面に、「働き方改革 中小1年猶予」という見出しの記事が載りました。
見出しだけ見ると何かが決定されたのかなと一瞬思ってしまうかもしれませんが、記事にもありますとおり、厚生労働省が「方針を決めた」だけであって、改正法の施行日が決定されたということではありません。

この間の経緯を振り返ってみます。
①平成29(2017)年3月28日 働き方改革実現会議による「働き方改革実行計画」の決定
②平成29年4月7日~ 厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会による審議
③平成29年9月15日 働き方改革関連法案要綱の公表
④平成29年9月28日 臨時国会 冒頭解散

昨年の夏ころの時点では、衆議院の解散総選挙は想定されていませんでしたから、秋から行われる臨時国会へ法案を提出をすべく厚生労働省は急ぎ法案の準備を進めていたわけです。ところが、急きょ解散総選挙となったため法案を提出することができず、③の「法案要綱」の段階から先に進んでいません。「法案要綱」とはいわば「法案の概要」ですが、その「概要」に書かれている施行日をそのまま法案に書かずに、記事にあるように修正したうえで法案を作成し、通常国会に提出する方針を厚生労働省が決めた、というのが記事の内容ということになります。

1面に大きく見出しとして出ると何かが決定されたかのような錯誤をしてしまうことがありますが、近年の国会の審議の進行は遅れがちになることも多く、記事に示されている変更後の施行日がそのまま改正法の施行日とならない可能性もあることに留意が必要です。


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